記憶喪失マスター ホルス奮戦記
我輩は魔術師である、名前はまだ無い。
というか分からない、というか思い出せない、何故自分はここに居るのだろう。
魔術師であるらしいというのも、自分がそれらしい格好をして、何かぐにゅぐにゅとした杖を持っているからだ。
これで、実はあんたファンタジー好きのちょっとイってしまってるコスプレ野郎なんだと言われたらどうしよう、反論が出来ない、そんなのは嫌だ、
私はごく普通の人間な筈だ、多分。
いや多分ではない、絶対その筈だ、今だって、いやしかし・・・・。
まったく状況が把握できず、何をどうしたら良いか分からぬ状態に、混乱した頭を抱えていると。
「ああ、マスターこんな所にいたんですか」
突然声をかけられた。
「ぬぉ、なんだおまえはっ」
いつの間にか私の足元に猫と狐を合わせたようなものが居て、しかも話しかけてきた。
「なんだと言われても、マスターの使い魔です」
「使い魔?ということは、やはり私は魔術師でいいんだな?」
「当たり前じゃないですか、そうじゃなかったら、ただの痛いコス・・」
「やめろっ、それ以上は言わなくて良いっ」
必死に否定して、ぜいぜいと肩で息する私を不思議そうに見ていた使い魔だが、まあいいかと思ったのか。
「しかし、マスター無事でなによりです」
「無事?と言うと何かとんでもない目に遭ったのか、私は?」
「覚えてないんですか?」
「全然まったく、」
はぁと使い魔はため息をついた。
「でもまあ、しょうが無いかもしれませんね」
何も覚えていない私に対し、使い魔が状況をかいつまんで説明してくれた。

どうやら私は成功さえすれば(ここ重要)、この世の全てを支配する事が
出来ると言う、胡散臭い、いや強大な力を持つ支配の魔法という難易度超S級の魔法の詠唱に、現在の自分の実力も省みず無謀にも挑戦し、見事に失敗して、逆に魔力も記憶をごっそり失ったらしい、異界風に言うと、
ソフトが中古でしか手に入らなかったから、取り扱い説明書が無いんだよぉー(涙)状態らしかった。
まったくもって困ったものである。
なにかどごぞの古典的名作RPGの僧侶が使う禁断の強制帰還呪文使用後のようだ。
とにもかくにも、辛くも命は拾ったは良いが、それ以外はほとんど失ったらしい。
困った、とにかく困った、この先どうしていいか分からない、幸いある程度の魔力は残っているらしい、簡単な魔法ぐらいは出来る。
ほら、手の平に小さい炎、これで夜道もバッチリ。
だからどうだと言うのだ。
後は指を擦ると、あらまびっくり電撃が、これで痴漢も撃退よ☆
だ・か・ら・なんだって言うんだ。
わたしの魔法は女性の護身術レベルか、思わず肩が落ちる。
こんな状態でこんな所に放り出されて、途方に暮れまくって、もう嫌だ、記憶が無いなら、変な野望なんかも無い、折角魔法という技術がこの手に付いているなら、これから先はこの特技を使って生計をたて、ひっそりと生きていこうか。
そう手品師か大道芸師でもいい、せっかく拾った命だ、もう危険な事などはせず、平凡でもいい、細く長く人生を・・・・と遠い目をして考えていると、使い魔がとんでもないことを言い出した。

「それじゃあ、マスター、魔術師戦争を始めましょうか 」
は?魔術師戦争?なにそれ、なにその剣呑極まりない単語。
「あれー、知らないんですか?今この大陸では何人もの魔術師が我こそは至高の存在になろうと派手にドンパチ戦争やってるんですよ」
「なんですとっ!?」
知らない、知る訳が無い、記憶が無いと言っただろうこの馬鹿使い魔、
まったく口調は丁寧でも、こっちの心情なんかちっとも斟酌しやがらない
マイペースっぷりだ、慇懃無礼とはこの事だ。
全くもって生み出した奴の顔が見たい。 あ、私か。
過去の記憶が無いというのはどうにも不便で仕方がない
「まあ、七人の魔術士戦争じゃないだけマシじゃないですか」
使い魔はけらけら笑っていう。
「そりゃ、どこの聖杯戦争の話だ。」
確かにあんな化け物同士の戦いに巻き込まれでもしたら、命がいくつあっても足りない。私のような善良な一般市民には良い迷惑だ。
「その代わりこっちにはサーバントなんて便利なものはないんですけどね。」
「 むう、では直接魔術師同士が戦うのか?」
「いえいえ、そんな野蛮な事はしません、自分が率いる種族を使役して占領地を拡げて、マナとかお金とか何やらその他もろもろ奪いとっ、いやいや徴収して、力をつけて、相手の魔術師を倒すんですよ」
「大陸全土巻き込んで大喧嘩?、それって、野蛮とか何とか超越してるぞ、迷惑度はどごぞの聖杯戦争の比じゃないんじゃないか」
「そうですよねー」
使い魔は、またもやけらけら笑う。
「まあ、始まってしまったものは仕方ありませんよ、それじゃあ、マスター頑張って勝利を掴みましょう」

「は?なんの事?」
「だからー、マスターを含めた魔術師達が戦争してるんですってば」
「え?」
ちょっと待て、何故私が関係者? そういえば、こいつさっき戦争を始めようかとか何とか言ってた気が・・・・。
馬鹿な、この大陸が戦争状態なら、どこに逃げて、隠れていようかと考えていたのに、それなのに私が当事者?自分が何が出来るかも良く知らないのに、種族を率いて、魔法使ってモンスター使っての怪獣大戦争?
「まじ?」
こっくりと使い魔。
「マジ?」
こくこくと使い魔。
「 MAZI?」
Yesと器用に親指立てる使い魔。
「まじですかぁぁぁぁぁーっ」
「それが運命です」
余りに突然な事に、人が狼狽え身悶え驚き叫んでいるのに、
使い魔は手をひらひらさせながら。
「大丈夫、大丈夫、だってマスターは一人目だから
失敗したってボタン一つであら不思議、何も無かった事に」
「まてまてまてまてまぇーーーーい」
だからなんだ、その水槽かなんかの中に何体もぷかぷか浮かんで、
最後に全部壊されそうな不吉な言葉わーっ。
「だから安心して逝ってください」
「逝ってたまるかっ」
「でも逃げる事は許されませんよ、逃げたって向こうから来るし、それに他の魔術師が支配の呪文を唱えれば、はいそれまでよ、ですから」
「ぐはっ」
「私も精一杯サポートしますから、一緒に頑張りましょう」
「うう・・・分かった」

そういう訳で、全く何にも分からない(取扱説明書、攻略本無し)という
無謀極まりない状態で、私は魔術師戦争へと突入することになった。
ちなみに私の名はホルスというらしかった。使い魔に教えてもらった。
最初にそれを教えてくれればいいものを・・・・・。
不安だ、この先とっても不安だった。
ムクドリ
2008年04月19日(土) 15時22分08秒 公開
■この作品の著作権はムクドリさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
初めまして、シヴィラゼーションシリーズから、アルファケンタリウス、シヴィザードと順調に過去に遡って、今更ながらに嵌った、ムクドリです。
ソフトが中古でしか手に入らなかったので、取扱説明書無しの本当に手探り状態、
折角の面白い状況なのでリプレイ記として残そうかなと、初心者のシヴィラっぷり、暫くおつき合いの程を〜。

この作品の感想をお寄せください。
うわぁ。最近投稿は滅多にないもので、まったく気がついていませんでした^^;ラノベ調のノリ、私も好きです。なお、管理人ですので評価は一切放棄してます。点数はお気になさいませぬよう。 10 月読 ■2008-07-29 23:59:02
ふふふ。久々に新作発見ですー。上手じゃないですかー。 50 あむぁい ■2008-06-25 22:02:59
おお、こういうノリ大好きw 50 シムシム ■2008-06-02 17:19:29
久々の新作発見…嬉しいですね・・・ 30 まさかど ■2008-05-10 09:30:04
合計 140
お名前(必須) E-Mail(任意)
メッセージ


<<戻る
感想記事削除PASSWORD
PASSWORD 編集 削除