華麗なるフレイヤの挑戦 後編
前回で質に不満はあるけれど、英雄二人を手に入れて若干の戦力向上を果たしたフレイヤ軍、とにかく今は勢力拡大すべきと、西の大陸へと開拓団を送り込む。
「ご主人様、ご主人様大変だにょろ、送り込んだ開拓団はマーリンの猛烈な反撃にあって壊滅にょろ」
「なんですって!?」
「しかも、レーバンのスプライト部隊や、シャーリーのドゥームバット部隊がにょろ達の島へと上陸、隙あらば、町に攻め込もうと島内に留まってるにょろ」
「ぬわんですって!?」
「かろうじて離れ小島にあったミロールへの塔だけは確保できたにょろから、ミロールへの道だけは切り開けたにょろが、それ以外がへっぽこぷーで四面楚歌にょろ」
「あー、もう本当に苛立ちますわ」
「ご主人様、ここは外交で下手に出て敵を絞るにょろ」
「もう毎日毎日ぶひぶひ五月蠅いですわ、あの焼き豚〜ず」
「そっちでにょろか、そっちで苛立ってるにょろか、もうびっくりにょろよ、それにしたってなんで焼き豚〜ずにょろか」
「あんな英雄と、その僕達はそれで十分ですわ」
「でも、バグトゥルー殿達も良い所はあるでにょろ」
「・・・・どこが?」
「みんなが嫌がる掃除なんかもしてくれるにょ」
「そうですの?」
「バグトゥルー殿達が来てから、残飯の量が極端に少なくなったって評判でにょろ」
「誰ですのっ、残飯漁りを許可させてるのわっっっっ!!!」
「まあまあ、ご主人様落ち着くにょろ、見てみるにょろよ、バグトゥルー殿のレベルが上がったでにょろ」
「・・・・みたいですわね」
「魔法道具作成で作った剣や盾を装備させて、戦闘を繰り返させて居るだけはあるにょろね」
「ちっ、しぶとい」
「マスターいい加減に諦めるにょろ」
「これを諦めたら、人として大事なものまで諦めそうで、嫌ですわ」
「それはもうとっくに・・・おっとと、それはそれとして、ほんと伝説が鰻登りにょろ、マスターの名は高まるばかりにょろね」
「・・・・・なんの評判か教えて欲しいものですわ」
「聞きたいにょろか」
「・・・・遠慮しておきますわ」
「だけどまあ、正直にょろ達は内政重視で他の魔導師と軍事力に差をつけられているからバグトゥルー殿は貴重な戦力にょろよ」
「不本意ですわ、不本意ですわ、ふ・ほ・ん・い・ですわ」
「大事な事なので何回も言いました、にょろ」
「不本意といえば、あのスプライトはなんですの?」
「レーバンの部隊にょろね、近くにセテラー乗せたトリームが居るところを見ると、ご主人様の町を潰して、自分の町作る気まんまんでにょろね」
「きーー、なんてわずわらしいんですの、あんな可愛い部隊、側に侍らしたいですわっ」
「ご主人様、何がしたいんだがはっきりするでにょろ」
「追い出そうとしたら、遠距離攻撃でなんにもしないうちに、全滅してしまいましたわ、キィー、キラキラふわふわ、なんて可愛らしい」
「ご主人さまも難儀な性格にょろね」
「それに、なんですのあのウォーバットの群れ、ばっさばっさ五月蠅くてかないませんわ」
「シャーリー軍もご主人様の領土狙ってるにょろ、ご主人様、もてもてにょろね」
「あんなのにモテても仕方有りませんわ、どうせくるならアリエルちゃんとか来なさい
そうしたら、こう、優しく出迎えてあげますのに 」
「別に本人が来るわけでもないのに、相変わらず夢の世界に浸るご主人様にょろね」
レーバン軍は様子見程度で、直接攻撃を仕掛けてくる訳ではなかったがシャーリー軍は違った、ウォーバット、キメラ入り9部隊はフレイヤ軍の町を攻撃、陥落させる。
「ちょっと、なんですのわたくしの許可無しに町を攻め落とすなんて、聞いていませんわ」
「別にご主人さまに許可とる必要なんて全然ないにょろ、どうするにょろ、居座っているにょろよ」
「勿論奪還ですわっ」
バグトゥルー率いる、作成出来るようになったエルブンロード、ロングボウ部隊で町の奪還を試みるが敵は全て飛行部隊、投擲持ちバグトゥルーやロングボウ部隊はいいが、満を持して出陣させた筈のエルブンロードの攻撃が当たらない。
陸上ユニットだから当たる筈がない。
「ええーい、くもの糸、くもの糸、くもの糸ぉぉぉぉぉ」
女郎蜘蛛にでもなった気がしますわと愚痴をこぼしつつ、ウォーバットにくもの糸をかけ続けるフレイヤ。
シャーリー軍が町を守備する事に専念し、野戦のように機動力を生かしての攻撃が無いこともあって、こちらもエルブンロード部隊が全滅しつつも奪還に成功した。
「いやー、激しい戦いだったぶー」
「・・・・・・こくり」
バグトゥルーとテュムーはしぶとく生き残り、なぜ華麗なエルブンロードが全滅と、少し白くなりかけたフレイヤを使い魔が励まして己を取り戻させ、奪還した町でソードマンを作り、防御に当てさせた。
これでほっと一息といった所で英雄のシュリが仕官して来た。
「なんか、ここって面白そうな所だって聞いてたからね」
仕官の際にこう言うシュリを、フレイヤはじと目で見る。
「わたくしの軍は華麗で優美な軍を目指しているのですわ、当然その噂を聞いて来たのでしょ?」
「ああ、そうだよ」
シュリはあっけらかんと言う。
フレイヤはその言葉に頷くが
「そのくせ主力部隊を率いているのがオークの英雄に毒使いだろ?、あははは、なにか言ってることとやってる事の結果がまったく逆になるって評判のネタ・・・」
「それ以上言いますと、解雇しますわよ」
怒りに唇の端をひくつかせるフレイヤに、シュリは、おっとまずいという顔をし。
「まあ、とにかくよろしく頼むよ」
と、バンとフレイヤの肩を叩いた。
「この人も体育会系の人にょろね」
こうして英雄も三人に増え、首都ではエルブンロード、第二の都市ではマジシャンの量産体制が整い、戦力十分、今こそ昔年の恨みを晴らす時とガレイ船にエルブンロード、マジシャン部隊を乗せ、シャリー軍の町を攻撃させようとするものの。
「なんですの、あのスリンガー部隊、人の許しも無く、勝手にこっちを好き勝手攻撃して、マジシャン達が何もせずに何時の間にか消えていましてよ」
「だから、なんで敵が攻撃するのにご主人様の許しが必要なんでにょろ」
「キィー、もう、なんて生意気な部隊なんでしょ、ちっこくて可愛くて、抱きしめたくなりますわ」
「相変わらず、難儀な性格にょろね」
「困りましたわ」
フレイヤはため息をつく、他の魔導師への攻撃の失敗もさることながら、ミロールの開拓の進捗状況も悩みの種になっていた。
確かにミスリル鉱脈を見つけたり、強力なハンマーヘッド部隊を作成でき、経済力にも優れる民であるドワーフの中立都市を占領したりしたが、フレイヤ率いるハイエルフとドワーフは仲が悪いため、始めから反乱民が続出、施設は買う事でしか増やせず、順調とは言い難い。
しかも
「我々の領土を侵す事は止めて頂きたい」
私がミロールの支配者だと、しゃしゃりでて来た爬虫類シィイ・ラによって、領土拡大も望めず、シャーリー遠征部隊は攻めるどころか逆に敵のグール、スリンガー部隊の襲撃に怯える始末。
そして、マーリンが世界魔法である魅力の向上を使う。
「一体なんですの!?」
どこからともなくラッパ隊のファンファーレが聞こえて来てフレイヤは慌てる。
さらにフレイヤの脳裏にキラキラ煌めいたマーリンのイメージ現れ、げっと思う暇無く。

パッチン

マーリンがウィンクした。

「・・・・・・・」
「どうやら、マーリンが魅力の向上を唱えたようにょろね、これで全世界の人に・・・・ってご主人さま、なに真っ白になってるにょろ?」
そんな精神攻撃を受けた上に
「さらに、またウォーバットがご主人様の島にやって来てるにょろね」
「ほんともう、うざったい事この上なしですわ」
どうせだったらキラキラスプライトちゃんをとぶつぶつ言ってるフレイヤに戦況図を見ていたシュリが額にかかる髪をかき上げ言う。
「あのさ、だいたい遠くのシャーリーを攻める事自体、どだい無理な話なんだよ」
「あなたはわたくしの戦略に問題があると言うのですの?」
「ご主人様、腹いせを戦略というのも無理があるにょろよ」
「もういいですわ、あなた方下がって」
すねるフレイヤをまあまあとシュリはなだめ。
「ただでさえ、敵の精鋭スリンガー部隊との戦闘で消耗が激しい上に、こちらは遠くから、船でえっちらおっちらと戦力補給、相手は生産都市から直送、これじゃあジリ貧になるのも無理ないさ」
フレイヤは爪を噛む、そんな事は分かっているのだが、今までの費やした労力も惜しいし、一度自分がこうと決めた方針を部下の進言で軽々と変えるというのも何か口惜しく、撤退の決断に躊躇いを見せていた。
だからといってこのまま不毛な消耗戦を繰り返していては本土防衛すら危うくなる
「なら、あなたならこの状況どうするつもりですの?」
「私かい?私なら、近場の西のマーリンを攻めるけど」
「マーリン、あのくそじじいですわね」
でもあそこは一度手を出して、大陸から叩き出された苦い思い出がある。
今度もまたそうなるんじゃと、フレイヤが躊躇していると。
「前はともかく、今度は大丈夫さ、前とは部隊の質が違うからね、それに偵察隊からの報告によると防備も手薄のようだ」
確かに今はエルブンロードもマジシャンも居る、今度は大丈夫かもと思ったフレイヤは
衣装の羽を翻して、シュリに命じる
「分かりましたわ、わたくしあなたの進言を受け入れましょう、早速マーリンの領土に攻め込むのですわ」
シュリはあいよと気安く請け負うと、さっそく部隊の編成にとりかかる。
「姉御、今度はどこでぶー」
フレイヤの事は姐さん、シュリの事は姉御と呼ぶバグトゥルーは、シュリに出陣するよと言われ、攻め込む先はどこか尋ねる。
「姐さんのためならどこでも行くでぶー」
いつも冷遇されているにも関わらずフレイヤには従順なバグトゥルー。
テュムーも無言に命令があればどこでもとこくりと頷く。
この二人、フレイヤの気まぐれによって、ミロールへ行かされたと思ったら、直ぐにシャーリー軍に取り戻された町を奪還するために地上に呼び返されたり、遠征軍に編入されて、船に押し込められたりと散々振り回されながらも、不平一つ言わない。
こいつらもなんか健気だね、とシュリは思いつつ。
「今度攻めるのはマーリンだよ、まあシャーリーよりは弱いから、少しは楽に戦えるかな」
「分かったでぶー、やるでぶー」
「・・・・・・こくり」

マーリンに目標変更したフレイヤ軍は生産される部隊全てをマーリン戦につぎ込む。
島の都市を狙うウォーバット部隊の守備の手当は?と聞く使い魔にフレイヤは躊躇なく
気合いで何とかなりますわと言い切った。
「流石ご主人さま、定見も節操も無いからやるとなったら思いっ切りがいいにょろ」
「やかましいですわ」
取られた以上の都市を別の敵から取れば問題無しと問題がありすぎる発言をフレイヤはし、とりあえずスピア部隊で見た目だけの水増し防御を各都市に施した後、マーリンの領土の切り取りを開始した。
「おほほほほほ、弱いですわね、流石は枯れ果てたじじいですわ」
ソードマン三部隊しか守備隊の居ない町を二つ程取ってフレイヤはご機嫌だった。
今までの苦戦ぶりをすっかり忘れたフレイヤに。
「ご主人様は幸せ者にょろね」
と、使い魔がチクリと皮肉を言っても
「あたり前ですわ、この私に不幸など訪れる隙間などありませんわ」
上機嫌のフレイヤは気がつかない。
「でも、マーリンがストーンゴーレムで反撃してきたにょろ」
「なんですって、なんでそんな部隊がマーリンの所に居るのです?わたし聞いておりませんわ」
「マーリンもネイチャー魔法が使えるから召還したんでにょろ」
「なんですって、ネイチャー魔法ってそんなの召還出来たのですの!?」
「ご主人様、自分がネイチャー使いだと疑われるような発言は止めるにょろ」
おだまりなさいと使い魔を制したフレイヤは迎撃を命じるが、マーリンに雷撃の呪文を使われダメージを受け続け、疲弊した守備軍は壊滅、町を一つ取り替えされた。
「なんですの、あの雷撃という呪文は、なんていやらしい、あんな魔法を使う人の品位を疑いますわ」
「ご主人様、だから自分がそのネイチャー使いだという事をすっかりきっぱり忘れてると思われる発言は止めるにょろ」
マーリンの手痛い反撃を受けたフレイヤ軍ではあったが、今度は根拠地が戦場に近い、
次々とエルブンロード、マジシャン部隊を送り込み、マーリンのストーンゴーレム部隊を撃破、さーて、どんどん行きますわよと意気上がるフレイヤ軍の前に恐怖の精鋭パラディン部隊が立ちふさがった。
次々と蹴散らされる味方部隊に慌てふためいたフレイヤはバグトゥルーに鉄の肌、巨人の腕とつけられる補助魔法をかけ、相打ちを狙う。
「ご主人様も酷いにょろね」
「あの豚男もわたくし達の軍の為に、散っても、文字通りのトン勝つになれるんですから本望ですわ」
「ご主人様、シャレも酷いにょろ」
「おだまりなさい」
しかし幾多の戦場を駈け巡って経験を積み、アイテムも装備していたバグトゥルーは
パラディン部隊を撃破する。
「今回は幸い一部隊だけだったから、なんとかなりましたけど、今度あの部隊が主力ででてきたら・・・・」
衣装の羽で自分の体を包み、不安そうなフレイヤに使い魔が言う。
「でも、ご主人様、今占領したハイマンの町であと軍学校を建設すれば、こちらがパラディン部隊を作れるにょろよ」
「なんですって」
途端に元気になるフレイヤ。
ほんと現金にょろね、という使い魔の言葉も耳に入らず、早速パラディン部隊作成に勤しむ。
「それにしてもあの雷撃呪文、うざすぎますわ、それにくもの糸、なんでネイチャー魔法はこんな陰険な魔法が多いんですのっ」
「だから、ご主人様がそのネイチャーの専門家だと何度言わせるつもりにょろか」
「あー、もう、なんとかならないものですの?」
都合の悪い事はあんまり聞かないフレイヤは八つ当たりぎみに使い魔に尋ねる。
「ご主人様、魔法消失を使えば、戦場全体にかけられた魔法を消せるにょろ、それで雷撃もくもの糸も消えるにょろよ」
「それですわ!」
失敗する事もあるにょろけどね、という使い魔の言葉も聞かず、フレイヤは戦いの度に、なんにも考えず、とりあえずとばかりに魔法消失を唱えまくる。
「消えて無いじゃない!どういう事ですのっ」
と、漸く事実に気が付いて、使い魔と鰻掴み踊りを披露する事になるまでずっと。
パラディン部隊を繰り出すマーリンとの戦いは消耗戦の体を為して来たが、雷撃等の魔法にマナを使い過ぎて、あんな堅いの出すのなんて卑怯ですわ、だから、ご主人様も出せば良いのにと言われていたストーンゴーレムなどの召還生物も戦場に姿を現さなくなり、フレイヤ軍の英雄達の活躍もあって、遂に敵首都近くまで迫った。
「首都の前にはカタパルトやプリーストら遠距離部隊が固める都市か、あんなのに手を出したらこちらも無事ではすまないね」
偵察隊からの報告に、エルブンロード、マジシャン部隊を率いるシュリは肩をすくめた。
バグトゥルーとテュムーは姐さんの命じるのならと、喜々として攻め込むだろうが、そろそろ軍事ユニットの生産都市と前線の距離も開いてきたので、ここで壊滅に近いダメージを受けては立ち直るのが、かなり遅くなる。
その間にマーリンに首都の防備を固められたら目も当てられない。
しかし、下手に現状のままに報告すると、変に順番にこだわるフレイヤが、都市攻略を命じるだろう。だからシュリはフレイヤが知りたがっている事のみ伝えた。
「敵首都発見、攻撃の許可を求める」
シュリの思惑どおり、直ぐに興奮ぎみのフレイヤから首都攻略の指令が届いた。
「そうそう、首都を攻撃だから、その前の都市は無視と」
思惑どおりに事が運び、ほくそ笑むシュリは敵首都攻略に取りかかる。

「パラディン三部隊に英雄二人、後はプリーストにストーンゴーレムか」
流石にマーリンもここを落とされては後が無いと守備は固めてある。
それでも遠距離部隊に、一方的に味方戦力を削られるよりはましかとシュリは旗下の部隊に攻撃を命じる。
石の肌で防御を固めたバグトゥルーが先陣を切り、エルブンロード、パラディン部隊が後に続く、敵のプリーストに数を減らされたマジシャン部隊も援護射撃の魔法弾を敵首都に叩き込み、シュリ自身も馬を駆り、騎射でもって敵を削る。
戦いは予想通り激しいものとなり、首都を陥落した時に残っていたのは、シュリ達英雄達だけだった。
こうしてマーリンはフレイヤ軍の軍門に下り、マーリンが封印された事によって中立都市になった残りの町をシュリ達は首都攻防戦の疲れを癒す間も無く連戦し、落としていった。
「おほほほほほ、これであの枯れ果てたじじいのウィンクなどというおぞましいものを見ることもなくなりましたわ、ほんと目出度い限りですわ」
「一番に喜ぶ所がそこにょろか」

こうしてマーリンを下したフレイヤ軍は次に、お前は敵だ敵なんだと、やたらと憎悪を滾らしてくる、フレイヤ曰く、顔面鉄板焼きのレーバンに標的を移す。
「筈だったのに、なんでシャーリーと戦ってるにょろか?」
「あのビックママのキメラ部隊が私の都市を攻めてきているからですわっ」
マーリンの首都攻略によって領土が陸地続きで接するようになり、敵意を募らせたのか、ガーゴイルを含めたキメラ9部隊がフレイヤの首都近くの都市へと奇襲をかけてきた。
「守るはスピアマン4部隊にロングボウ部隊が3・・・・これは落ちたにょろね」
「きぃーーーー」
フレイヤが必死にくもの糸を敵の飛行部隊にかけまくるも、守備隊は壊滅して都市は陥落した。
「わたくし何〜にも見てませんし、何〜にも知りませんわ」
都市陥落の報に不貞寝するフレイヤ。
「ご主人様現実逃避している暇は無いにょろ、取られたら取り返すにょろよ」
敵が首都近くに来てるのに何してるんだと、その上をジャンピングする使い魔。
「やれやれ、なにやってんだか」
遠く旧マーリン首都に駐屯し、今は部隊の再編成に忙しいってのに、手をかけさせるなと額に手をあてるシュリ。
「プギー、姐さんの危機だぶー、大変だぶー」
「・・・・・・こくり」
慌てふためき、辺りをぐるぐる走り回るバグトゥルーと、一緒に走り回りながらもやはり無言のテュムー。
てんやわんやの愉快なフレイヤ陣営であったが、幸いミロールからドワーフのハンマーヘッド部隊が首都近辺へ輸送されていた事と、纏めて海上輸送で前線へ送ろうとして、生産したまま首都に留めておいたマジシャン部隊が居たのでこれを急派、なんとか都市の奪還に成功し、大事に至らずにすんだ。
しかしこの事はフレイヤを激怒させ
「このわたくしを慌てさせるなんて許せませんわ、あのしゃれこうべ頭に乗っけた未開人に正義の鉄槌を下しておやりなさい」
「ご主人様の行動のどこに正義があるんでにょろか?」
などという使い魔の疑問はキッパリとスルーして、シャーリーとも戦端を開く事になった。
「しかしまあ、最悪の二正面作戦にょろね、しかもスララとも前の険悪状態から関係回復してないから、相変わらずの袋叩き状態にょろ」
「黙らっしゃい、わたくしをあなどると、どういう事になるか目にも見せてくれますわっ」
「そう言って、いつもご主人様が目にもの見せられてるにょろよ」
「だから、お黙りって言ってるのですわ!」
何はともあれ、まずはあの鉄板焼きにジューという目に合わせて差し上げますわと、フレイヤは召還したゴーゴンを中心にエルブンロード、パラディン、ハンマーヘッド、マジシャン部隊らの混成9部隊でレーバン軍の領土へ侵攻。
「おほほほほ、やはり美しい者が勝つのですわ」
と、フレイヤが上機嫌に笑う程簡単にクラッコンのハルバーターの守備隊を蹴散らし、瞬く間に2都市を占拠した。
が、
それからが大変だった。
各敵都市から湧くは湧くはの、やたら出て来たレーバン軍の虫軍団の反撃。
「なんですの、あのむっしむっしむっしむっし大行進はっっ」
と、フレイヤがヒステリーを起こす程のクラッコンのハルバーター部隊、スタグビートル混成の大軍が占拠したばかりの都市へ連続攻撃を仕掛けてくる。
「殺虫剤、殺虫剤はどこですのっ!、なんでキン○ョールって魔法がありませんのっ!」
「ある訳無いにょろ」
などとお馬鹿な会話をしている間にも、虫軍団の攻撃は止まない。

ギチギチギチギチギチギチギチギギチギチギチギチ

虫兵達が鳴らす顎の音が戦場に鳴り響き。
「嫌ーーーーっ!、虫嫌ーーーーーーっ!、もう来るんじゃありませんわ!!」
大量にわらわら沸いてくる虫兵に何かトラウマ抱えたらしい、フレイヤの叫びもついでに本拠地の館内に響く。
「ご主人様、指揮をお願いするにょろ」
「・・・・・・」
使い魔が促しても、フレイヤは天蓋付きベットのシーツにくるまって出てこない。
「ご主人さま、まるでみの虫みたいにょろ」

びくりっ

と、反応はするのだが、やはりベットからは出て来ない。
「困ったにょろね、こんな時に頼りになる人と言えば」
「もしかして私かい?」
「ぴんほーん♪だにょろ」
「はぁ」
フレイヤの指揮放棄状態に、仕方がないねぇとぼやきつつ、シェラが代わりに軍の指揮を執る。
「レーバン領の東部戦線は当面防戦、西部戦線は攻め、シャーリー領を切り取るよ」
「了解だぶー」
「・・・・・・こくり」
こうしてフレイヤ軍は再び動きだした。
「それでは報告するにょろ」
漸く虫達の狂演の悪夢から立ち直り、フレイヤがベットからはい出て来ると、早速使い魔が各戦線の戦況報告をする。
レーバン軍に対しては防戦状態、シィイ・ラはここぞとばかりにミロール方面の手薄な都市を奇襲攻撃して来ているので、ハンマーヘッド部隊とロングボウ部隊をミロール各都市に配置して防衛体制を整える、シャーリー軍に対してはシュリ率いる主力部隊が攻勢を行ない首都を目指す。
「これでいいにょろか?」
「・・・・・はぁ」
使い魔の報告にも生返事で、どこかぼぉっとして窓の外を眺めていたフレイヤは、
けだるく、みーんな承認と言った後。
「足りない」
と、呟いた。
「ん?ご主人様、なにか言ったにょろか?」
部屋から出ていこうとした使い魔が振り返る
「言いましたわ」
「よく聞こえなかったにょろ、もう一度言って欲しいにょろよ」
「だから、足りないのですわ」
「?なにがにょろ?」
「決定的に足りないのですわ、そう華やかさが」
「そうにょろか?」
「ああ、これだがら爬虫類は駄目なのですわ、華やかなのはわたくし一人のみ、これでは全然足りませんわ」
「マスターが(頭の中が)華やか過ぎるから、それでお腹いっぱいでにょろ」
当然ですわと、全然気付いていないフレイヤはあでやかに笑った後、首を振る。
「駄目ですわ、わたくし一人では駄目なのですわ、周りに侍り、わたくしを引き立てる、そんな者達が必要なのですわ」
「侍るって、もしかして英雄の方々の事にょろか」
フレイヤは頷く。
「このわたくしに直接指令を下される幹部の者達、兵だけでなく、この幹部にも華やかさが必要ですわ」
兵の主力は今やハイマンのパラディンとエルフのマジシャン部隊、これはフレイヤも満足している。
しかし、それを率いる指揮官とくると
「そう、あの豚男と居るんだか居ないんだが分からない影男は論外としても、シェラさんも良い方なんですけど、がさつで、華やかとは言い難いですわ」
とかく意識がどっかへ逝っちゃい易いフレイヤに代わって、全軍を纏めているシェラさんにそれは悪いんじゃないかと思わぬでもない使い魔だが、そこはそれ、自分はあくまでご主人様個人に仕える身だからと逆らわずに。
「じゃあ、ご主人様はどうしたいのでにょろか?」
と、使い魔は尋ねる。
「英雄召還ですわ」
「またマナの無駄使いを」
「た、多方面にわたって戦線が広がっている今、指揮官を増やす事は急務ですわ」
「そうならないようにするのが、ご主人様の勤めのような気がするにょろが・・・」
「うっ」
痛い所を点かれてフレイヤは言葉に詰まる。
「まあいいでにょろ、新たな戦力は必要でにょろ、早速準備を始めるでにょろよ」
「そ、そうですわ、早速準備を始めなさい」
こうして英雄召還を始めたフレイヤだが、これがそう簡単にほいほいと呼び出せるものではない、ある程度時間がかかる、そんな事している間にシャーリーが一手打ってくる。
「ご主人様、空が真っ暗にょろ、なにか混沌の闇っていう呪いを町にかけられたみたいでにょろ、魔法解除しないとまずいでにょろよ」
「おだまりなさい、いま大事な所なんですのよ、気を散らさないでくださる?」
「でも、施設が・・・あーあー、兵も消えていくにょろ」
実に効果的にフレイヤの首都を大変な事にしていた。
しかも。
苦労の末呼び出した英雄が
「くくくくく、お初にお目にかかる、わたしはミスティークと申します」
「・・・・・」
やたら含み笑いをする、なんか怪しい奴だった。
「くくくくく、いやはや、噂に違わずお美しい、くくくく、そんなあなた様にお仕えできて光栄の限りというものです、くくくく」
「・・・・なんですの?これは」
「ご主人様が召還した英雄にょろ」
「英雄!?このまっ黒くろんボのミスター]が?、こんなのどこぞの悪の幹部ですわ、
ま、まさかラ・ジャがアルバイトしているとかですの!?」
「いろいろと失礼な事言ってるご主人様、落ち着くにょろ、英雄のミスティーク殿にょろ」
「・・・・・」
使い魔にはっきりと事実を告げられ、わっと両手で顔を覆い嘆くフレイヤ。
「なんでですの?、どうしてですの?、あんなに頑張ったのに何故召還されたのがこれなのですの!?」
コレ扱いでも常に含み笑いをし続けるミスティーク、ここは怒る所じゃないのか?と使い魔は思うが
「くくくく、やはりフレイヤ様は噂に違わぬお方、ああ私の主に相応しい」
なんて言ったりして、むしろ喜んでいる?まさかマゾ?
「うーん、やっぱりこんな英雄が召還されたのも、都市が呪われた状態で無理矢理儀式を続けたからじゃないにょろか?」
「・・・・・・・」
再び思考停止状態になったフレイヤ。
このまま彫像のフレイヤに含み笑いをしつづけるミスティークという図を続けるのもなんなので、仕方なく使い魔が代わりにミスティークの採用を決定し、シャーリー軍を攻めているシュリの援軍としてパラディン、マジシャン部隊の援軍を率いさせて進発させた。

周り全てが敵という状況で戦い続けていたフレイヤ軍であったが、状況に変化が出た。
「ご主人様良いにょろか」
「なんですの?わたくし今あまり機嫌が良くありませんの」
期待していた英雄召還があれで、試みた首都への呪いの解除もシャーリーが余程の魔力を注ぎこんだのか、ことごとく失敗、空には今もなお不気味な赤黒い裂け目が見ている、各戦線も延々と戦い続けるのみで先の展望が見えないと、フレイヤは不機嫌さを隠さず使い魔に返事する。

「それがレーバン領で占拠した都市全てが奪還されて、守備隊が壊滅したにょろ」
頬杖していたフレイヤが、かくんと頭を落とす。
「東部戦線は完全に潰走状態にょろね」
うつむいたまま、机にのの字を書き始めたフレイヤに使い魔は普段と変わらぬ調子で報告した。
「それで、わたくしにどうしろと」
ふてくされたように言うフレイヤだが、使い魔は気にもとめず。
「もう一度レーバン領内に再侵攻するか、それともシャーリー軍に戦力を集中するか、判断して欲しいとシェラさんに頼まれたでにょろ」
と、必要な事だけを言う。
フレイヤは溜め息をついた。
「拠点を失ったら、もうしょうがありませんわ、レーバンには手を出さず、まずはシャーリーを叩きなさい」
「分かったでにょろ」
流石のフレイヤも多方面作戦の愚を悟り、使い魔に指示する。
その後も今回のレーバン戦の失敗に気落ちしたのか、フレイヤはシェラに今後の作戦を一任して、呪いの解除と呪文のリサーチに専念する事にした。
「なのに、全然解除できませんわっ」
机につっぷすフレイヤ、首都の建設物は次々と闇に飲み込まれ、兵達も消えていく、
すっかり落ち込んで、顔を上げる気配も無い。
「元気出すにょろよ、それよりシェラさんからの報告にょろ、首都攻撃を開始するとの事でにょろ」
「え!?、なにかこの前、精鋭スリンガー部隊にパラディン部隊の守っていた都市を落とされて、さあ大変なんて報告が来ていたのに、それがな何故いきなり大詰めなのですの?」
思いがけない使い魔からの報告に、驚いて顔を上げたフレイヤは首を傾げた。
「そちらは援軍を連れて来たミスティークさんに任せるそうでにょろ、シェラさんは精鋭部隊を率いて、直接首都を突くそうでにょろよ」
「そ、それってバクチって言いませんの?」
ここの所、始めは調子良くて、敵の反撃で味方が壊滅したとの報告を立て続けに受けていたフレイヤは不安げな顔をするが、使い魔は平然として
「失敗すればそうなるにょろね」
ぺろぺろ舌を出したり引っ込めたりしながら平然と言う使い魔。
フレイヤの背中に冷や汗が流れる。
「ちょ、ちょっと待ちなさい、早まらないでもう少しじっくりといきませんの?」
「そんな事してたら、シャーリー軍の精鋭スリンガー部隊にぼこぼこにされるにょろ、そうなる前に敵の首都を落とすにょろよ」
あんなにちっこいのに、あんなに可愛いのに、なんであんなに小生意気なのっと、再び机につっぷしながら呟くフレイヤに使い魔は決断を促す。
確かにいたずらに敵の精鋭スリンガー部隊と戦い、戦力を消耗するよりは、敵首都を強襲するのも一つの判断かもしれない。
フレイヤは暫く考え込んでいたが、やがて決断を下した。
「分かりましたわ、シュリさんに伝えて、攻撃は許可するけどとにかく全滅だけは避けるようにと」
「分かったでにょろ」
こうしてシェラ、バグトゥルー、テュムー、パラディン部隊、マジシャン部隊の9部隊が、シェラ達の首都侵攻に慌てたシャーリーが各都市から出撃させたスリンガー部隊の間をすり抜け、敵首都への攻撃を開始した。
出迎えたのは英雄一人にシャーマンとウォーバットとイフリート、残りがシャドーデーモン。
「まずは雷撃で連続全体攻撃、鉄の皮膚で防御を固めたバグトゥルーを先頭に突っ込むよ、コウモリとイフリートにはくもの糸、」
首都攻撃に向けて次々と指令を下すシェラ、そして腕をぶん回し、今にも突撃していきそうなバグトゥルーを見、
「バグトゥルー、投擲持ちのあんたが今回の要だ、再生かけてもらうから、とにかくシャドーデーモンを叩いておくれ、後はあたしらがなんとかする」
「分かったでぶー、任せるでぶー」
言うなり、単騎でシャドーデーモンの群れに突っ込む。
殆ど自殺行為ともいえる突撃を命じられても臆することなく却って闘志を燃やすバグトゥルー、シュリは攻撃開始の合図を出した。

「ご主人さま、敵首都を落としたでにょろよ」
執務室の机の上、手を組んで無言で報告を待っていたフレイヤは顔を上げた。
「そう・・・・ですの、皆にごくろうさまと言ってくださいな」
勝てるかどうか不安でここ暫く呪文のリサーチにも身が入っていなかったフレイヤはほっと安堵の息をつく。
「どうも今回はバグトゥルーさんが大活躍だったみたいにょろね、シャドーデーモンをちぎっては投げ、ちぎっては投げ、殆ど一人で倒したみたいでにょろよ」
「そ、そう?あの豚・・・いえ、バグトゥルーが・・・・」
「シェラさんもバグトゥルーさんが居なかったら、今回の戦いは勝てなかったと言っていたにょろ」
「そうですの・・・・」
暫く言葉なく天井を見ていたフレイヤはやおら使い魔に向き直り。
「おーほっほほほ、あのバグトゥルーも漸く我が軍の先鋒として使えるようになったようですわね、まさしく名実ともにトンカツになったというわけですわ」
「・・・・・・」
「な、なんですの?」
使い魔の沈黙にフレイヤはたじろぐ。
「ご主人様って、照れ隠し以上に洒落が最悪にょろね」
「やかましいですわ」

主力部隊の奮戦もあってシャーリー軍の首都は落としたが、シャーリー自身は封印される前にアイシャルリターンと回帰の呪文を唱える事に成功、完全にシャーリー軍の息の根を止めるには至らなかった。
この為、シャーリー無き後もシャーリー軍の敗残兵がそこかしこにあふれ出し、各地の都市は孤立しながらも抵抗を続けていた。
「でもまあ、魔法攻撃がなくなっただけでも楽なもんさね」
シュリは戦況を部下から聞きながら、機嫌良く愛用の弓の弦を弾き鳴らす。
「くくくく、全ては頭、頭ですよ、頭をすげ替えさえすれば、全てが変わる、そう変えてしまえば良いのですよ、くくくく」
「・・・・・・・」
指導者がいなくなれば残りの兵力がどんなに多くても、烏合の収に過ぎないって言いたいんだろうーなとシュリはミスティークの言葉をそう解釈する。
でないと精神衛生上悪すぎる。
このミスティークも態度と口調こそ恐ろしく怪しいが、命令には忠実だし軍務も真面目にこなしてる。いっその事テュムーのように何も喋らなければいいのに。
「ではざっくりと殺ってしまいましょう、躊躇する事なく、くくくくく」
余計な事を言うので変に警戒されるのだ。
まあ、性格だから多分うちらの主人と一緒で直らないんだろうなとシュリは思いつつ
「と、とにかく、何時までもほっといて勢力盛り返させるのもなんだし、さくっと残敵掃討といきますかね」
と、ミスティークを促して、残っている都市の制圧にかかる。
やはり、首都陥落と、一時的にしろ指導者不在の影響は大きく、かつての激しいて抵抗が嘘のようにあっけなく各都市はシェラ率いる部隊とミスティーク率いる部隊によって落ちていき、フレイヤよ私は帰って来たとシャーリーが戻った時には、既に各地の拠点が潰された状態で抵抗しようにも都市は無く、戦力も尽きておりさしたる抵抗もできずにあっけ無く再度の首都の陥落を許し、今度は完全に封印される事になった。
「ふぅ、やっとあの顔面鉄板焼きに正義の鉄槌を下してやる事が出来るようになりましたわ、さあ行くのです、華麗に勝利していきなさい」
うちら正義か?とシュリは首をひねりながらもフレイヤの号令の下、 シュリ、 バグトゥルー、テュムー、精鋭パラディン、精鋭マジシャンの部隊がレーバン領を切り裂いていく。

レーバンは率いている基本の種族はクラックオンであり主たる戦力はハルバーターとスタグビートルであったが、ハイ・マンの大都市も傘下に納めており、精鋭パラディン部隊も有していた。
ズラリと槍の穂先を並べて勇壮に構える敵パラディン部隊を見て
「ああ、あれ、パスパス、あんた、あれの注意引いておいて」
シュリはあっさり手をひらひらさせて仕事放棄、ミスティーク]に丸投げする。
「くくくくくく、わたしに任せるというのですか、これは面白い、どのような事になるのか、想像してみた事のある人はここに居るのですかな、くくくく」
丸投げされたミスティーク]は相変わらず、部下が、おいあれ大丈夫かと袖を引き合うほど怪しげに笑うが、命令には素直に従い陽動作戦に出る。
レーバンはパラディン部隊は都市の守備には回さず、ノードの守備や、野戦決戦の戦力として野外に出していた。
レーバンのパラディン部隊は全て精鋭部隊でフレイヤ軍が近づこうものなら馬蹄を轟かせて蹴散らそうと勇んでいたのだが。
「くくくくく、かかかかかか、くはははははは」
突然現れた、黒ずくめで怪しい笑いを轟かすミスティーク]の出現に慌てる。
「うわっ、なんだあの怪しげなのは、まずい都市に近づけるな、なんか呪われそうだ」
と、敵も思ったのだろう、敵パラディン部隊はまんまとシュリの思惑に乗りミスティーク]の部隊に釣り出された。
ミスティーク]もパラディン部隊8部隊を率いるフルスタック体制であるため、敵もうかつに動けず、そのまま対峙、肝心の都市防衛の機動戦力としては消滅したに等しい状態となった
「よし、今のうちにいくよ」
敵がうまく陽動にひっかかったのを見たシュリは主力を率いて首都を目指す。
途上の都市を守備していたのは殆どかスタグビートルであり、フレイヤの雷撃魔法の援護のもと、シュリは次々と都市を落とし、首都へと攻め込んだ。
首都の守備も英雄二人が増えたぐらいで相も変わらずスタグビートルとシャーマンの部隊が2部隊であり、シュリ、マジシャンの援護のもと、バグトゥルー、テュムー、パラディン部隊が突撃して首都を陥落、レーバンは封印され、敵パラディン部隊はミスティーク]と対峙したまま、肝心な時に何も出来ず、勢力消滅によって溶けるように四散した。

これで残るはミロールに陣取ったシィイ・ラのみ。
フレイヤは早速偵察部隊を送り込んだ。
今まで他の魔導師達の戦いを傍観し、たまに偵察かと思われるドレーク部隊を数部隊
アルカナスに派遣する程度で動きのあまり無かったシィイ・ラ軍である。
どれほどの戦力を有しているのかと調べてみると、偵察隊が驚愕の報告を持ってきた。
「なんですのあのキャノンキャノンキャノンの大群は、集めればいいってものじゃなくてよ」
「なにか誇示したいのかもしれないにょろ」
シィイ・ラの首都はさほど大きくない島に存在し、しかもその島内には、今までずっと引き籠もって暇している内に大砲の浪漫にでも目覚めたのか、無数のキャノン部隊の大軍が列を成して壁となり、首都への道を塞いでいた。

「あんなものにまともにぶつかったら、戦う前にこちらがやられちまうよ」
シュリは肩をすくめる。
「どうだぁ、このキャノン部隊、強いんだぞぉ、凄いんだぞぉ」
なんて自慢げなシィイ・ラの鼻息が聞こえてきそうだが
「けど、なんでそれで攻めて来ない?」
そんな疑問がフレイヤ陣営首脳部の間に湧く。
「くふふふー、この鋼の配合、この曲線、この艶、すんばらしいんだぞぉ、もっと作るぞぉー、戦って壊すなんてもったいないおー」
「あははははは、まさかね」
あれこれ考えていたフレイヤ達だったが、シュリが乾いた声で笑い出した。
「まさかにょろ」
「まさかぶー」
「・・・・・」
「くくくくくく、まさか、くくくく」
皆、まさかまさかと言い合うが、じゃあなんで攻めて来ないんだ?という解答について誰も答えられない。
「なんかぞわりと来ましたわ、あんなのまともに相手してられませんわ、さっさと迂回して攻めてきなさい」
一人、まさかまさかとの言い合いに参加してなかったフレイヤがぶるりと身体を震わし、攻撃の指示をすると、シュリ、バグトゥルー、テュムー、ミスティークらも頭に浮かんだ
想像を振り切るように了解と返事をした。

まずシュリはウォーシップ三隻にパラディン部隊を乗せて、首都を突く勢いを見せる。
すると今でミロールに引き籠もって碌に戦いの経験をしていないからか、途端にキャノン部隊が一斉移動、ここから先は一歩たりとも首都には近づけさせないと壁を作る。
「また、簡単におとりに引っかかるね」
と、呆れるほど簡単におとりに食い付いて内陸部の守りを疎かにした敵キャノン部隊の壁を別の船でもって迂回、直接首都を強襲した。
「なんで、あのキャノンの壁にぶつからないんだよぅ、お前ら裏に回り込むなんてずるいぞぉ、あれって凄いんだぞぉ、強いんだぞぉ」
などと、気に入ったおもちゃを取り上げられた子供のように喚くシィイ・ラをやかましいと一蹴しつつ、シュリ達主力部隊は首都を攻略にかかる。
首都攻略自体はフレイヤの雷撃魔法をシィイ・ラが魔法消失で消滅させた事以外、さしたる苦労をする事もなく完了し、アルカナスの騒乱を尻目にひたすらキャノンを作り続けたシィイ・ラは封印された。

こうしてフレイヤは全ての魔導師を封印し、魔導師戦争の勝利者となった。
紆余曲折の果て二つの世界の支配者となったフレイヤの高笑いが何時まで続いたのか、それは誰も知らない。
ムクドリ
2009年01月10日(土) 17時46分48秒 公開
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■作者からのメッセージ
相変わらずのへたれリプレイ記ですが
楽しんでやっております。

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私も久しぶりに緑で遊びたくなりました。この前はデスナイトで遊んだんですよねえ。エフブンロードは自分で作ることは滅多にないもので、興味深く拝見いたしました。 10 月読 ■2009-03-03 23:35:48
おおー久々の新投稿ですね。お疲れ様です。エルブンロードが活躍するのは珍しいですねー。 30 あむぁい ■2009-02-15 21:39:47
完結お疲れ様です。楽しいテンションで面白かったです。 50 ぺんぎん ■2009-01-31 13:36:55
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