逆指輪物語
指輪物語というものをご存じだろうが?
そう、言わずと知れたファンタジー物語の名作である。
その中にでで来る敵役の種族であるオーク
醜く、貪欲で残忍、活躍すれば聴衆は歯ぎしりし、やられれば拍手され、最後はまとめてポイされる一山いくらな連中である。
そしてサウロン、物語中、常に強大な存在と語れるも、指輪一つ、たった指輪一つ失われたたけで溶けて無くなるこれまた儚い存在である。

我が名はサウロン、くしくもかつて野望空しく敗れ去った者と同じ名を持つ魔導師である。
扱う魔法もカオス、破壊の炎とこれも同じだ。
だからこそ我輩は決心した。壮図空しく破れ去った者どもらの無念を果たすため、我が野望を果たすため、この私がオークを率い、オークのオークによるオークの為の帝国を築こうと。
果たしてこの野望はなるか、それとも物語と同じく、破れて消え去るか、今はまだ誰にもその行方は分からない。

使用魔導師 サウロンデフォルト

我輩は早速アルカイナ大陸へと降り立ち、配下のオークどもらを見る。
容姿で差別する私ではないのだが、改めて見るとこいつらやっぱり醜い。
整列させている筈だが、隊列はバラバラだし、注目せよと言っても、素直に従うのは一握りだけで後は思い思いの方を見ている。腹掻いてぼぉっとしている奴や、よっぱらっている奴、ひろい食いしている奴もいる。
こいつらにまともな軍隊活動など出来るのだろうか、あまりにも不安だ。
言うことを聞かせるために何匹か焼き豚にしてやったら、今夜はごちそー、えいほーほー
と踊り出した、ぶっちゃけこいつら

「弱い、使えない、もう駄目ぽ」

逆指輪物語 完

次回のリプレイ記をお楽しみ下さい。

「さて、帰るか」
「ちょ、ちょっと待ってください、帰らないでください」
「なんだ部下Aよ」
「部下A?Aってもしかして私の事ですか?」
「ぶっちゃけ出来損ないのフランケンシュタインみたいなお前ら、見分けがつかん、だから部下Aで十分だ」
「ひどっ、私はサウロン様の片腕ですよ」
「片腕ねぇ」
「とにかくいきなり終わらないでください、。冒頭のやる気に満ちた独白はなんだったんですか」

「気の迷いだ」

逆指輪物語 完

次回の・・・・

「だからそれはもういいですってば」
「何が不満なのだお前は、だいたい目的からして無謀だった、やっぱお前ら滅びて当然、種族融和マンセー、全ては将軍様の元に平等、マンセーマンセー」
「さっきから変な事ばかり口走って、ご主人様こそ何が不満なんですか」
「全てだ、お前ら弱いし、統率なんて言葉頭に無いし、好き勝手し放題じゃないか」
「そりゃ、オークですから」
「オーク率いて世界制覇なんて無理、以上」
「だから終わらせないでください、オークにだって利点はあります」
「そんなもんあったか?まあ、どんなにいたぶっても良心が痛まないというのは利点といえば利点だが」
「サウロン様に良心ってあるのだろうか・・・・」
「今なんか言ったか、きさま」
「いえ、なんにも、とにかく、オークの利点は汎用性の高さです」
「ふむ」
「どんな事でも恥知らずに出来・・・じゃなくて器用にこなせるから、見よう見まねでとりあえず外見だけ繕って適当に・・・・じゃなくて、どんな種族の建物でも建設出来るのですよ、これは利点じゃないですか」
「でも全てが劣化版だからな、敵のパラディンなんぞ出てきた日には、ほんとボーリングのピン以上にもろいぞお前ら」
「そこをなんとかするのがサウロン様の力量です、誰もなし得ない事を為し遂げる、まさしくサウロン様以外の誰にも出来ない事ですよ」
「うむ。そうか、まあそうであるな、お前らのような奴らのみで勝利をもぎ取るのは私ぐらいしかいない」
「そうですよ、そんな偉大(変人)な魔導師はご主人様しかいません」
「ふむ、そうなるとあの連中もまんざら捨てたものでは無いように見える」
「そうです、オークは何でも(物真似だけど)出来る」
「うむ、出来る」
「オークに出来ない事(表面を取り繕うだけだし)は無い」
「無い」
「大学も銀行も出来る」
「知的だ」
「精霊ギルドも幻獣宿舎も作れる」
「素敵だ」
「蒸気機関もお手の物」
「すばらしい」
「燃えてきましたね」
「萌えてきたな」
「メイド喫茶やコスプレ喫茶だってやってやらぁ」
「やーーーーてやるぜっ」

オエーーーーーーーーーー(←思わず想像してしまった馬鹿二人)

「い、いや流石に喫茶は無理があるぞ・・・」
「そうでした、なぜここで喫茶を出してしまったのか、申し訳ありません」
「と、とにかく行くぞ、我が野望を果たすためぐずぐすしてはいられない」
「は、お任せを」
こうして、勢いだけの後先無しの逆指輪物語が始まる。

「さあ、町づくりだ町づくりだ」
始めにやる事はどの勢力でも変わらない、食料倉庫に市場、農業市場の三点セットを作り、セテラーで勢力を増やしていく。
「そーれ、働け、やーれ働け」
バケツリレーの要領で煉瓦を運び、えいほいさと角材担いだオークが行き交いし
何人もの労働オークが縄を引き石材を運んでいく。
町の防備というより、さぼってる奴がいないかどうかの監視が主任務になっているスピア
マン部隊が目を光らせる中、次々と町が作られていった。
その間にスピリットを召還、偵察に出す。
すると偵察隊が他の魔導師の部隊と接触を持ったようだ、部下Aが報告に来る。
「サウロン様、西部方面に送った偵察隊がフレイヤ部隊と接触、こちらに外交チャンネルを開く事を要求してます」
「ふむ、フレイヤとはどのような奴だ?」
「ネイチャー魔法の使い手でなかなかの実力者とか、言動にはくれぐれも気を付けてくださいね」
「言われるまでも無い、つっこみ無用の完璧な外交を繰り広げてやろう」
鏡の間で待機していると、やがてフレイヤの顔が鏡に映し出された。
「お」
「おーーほっほほほほ、お初にお目にかかりますわ、あなたがこのわたくしの華麗なセテラー部隊の進路を邪魔してるサウロンさんですのね」
「は」
「このわたくしの名は名乗らずとも当然知っていると思いますが、わたくしが、そうこのわたくしが美しさと賢さの双方を必要十二分に持ち溢れているフレイヤですわ」
「あ、いや」
「おーーーほっほほほほほ、なにやらわたくしの前をうろちょろとしているみたいですけれども、所詮わたくし以外の魔導師は引き立て役にすぎませんのよ」
「だから」
「ですので無駄な抵抗はおよしになって、さっさとわたくしの軍門に下ってくださいね」
「あの」
「では、ごきげんよう」

ぶつん

「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・・切れたな」
「・・・・・・・切れましたね」
「一言も口をはさめなかったぞ」
「そうでしたね」
部下Aとともに溜息をつく、どうやらフレイヤとは交渉不可能というか、会話が成り立たないようだ。
他の魔導師はまともなのだろうな、と今度は北方に勢力をのばしているオベリックという魔導師と交渉を持つことにした。
「いいですか、今度こそはちゃんとした外交をしてくださいよ」
「分かっている、前のは相手が悪すぎた、今度はお前に二の句をつがせない程の完璧な外交を披露してやろう」
「それじゃあ、いきますよ」
「どんと来い」
通信用の鏡が鈍い音を立て、オベリックの顔を映し出す。

「なんだこのオカマは」

ぶつん

「・・・・・切れたな」
「・・・・・切れましたね」
「今度は相手が何も言わなかったな」
「そうでしたね」
所詮我が道は血塗られた道ということか、他にも東方にロ・パンという魔導師が居たが、
見かけが謎の中国商人という感じだったので思わず
「ワタシ、アナタカラカイゾクバン、ナニモカワナイアルヨ」
と言ってしまい、交渉は決裂してしまった。
こうして驚きの三正面作戦となったのだがやはりきつい、戦力を三つに分けた事で破綻はすぐ来た。
「大変です、大変です、サウロン様」
「なんだ、騒がしいぞ、部下A」
「ロ・パンの部隊がこちらの前線を破って町へ近づいています」
「なんだと?」
「英雄以下、ソードマン部隊7部隊の大部隊です、どうしましょう」
「なんだと!?」
東部戦線の拠点となっている町の守備隊は今はスピアマン二部隊のみ、まともに戦って勝てる訳がない。
しかし折角育ててきた町だというのにこののままみすみす敵の手に渡すのは惜しい。
「よし、部下A許す、死んでこい」
「はっ、了解しましたって、死ぬんですか私!?」
「わが帝国の礎となれ」
「ちょっと待ってください、私が逝ってもなんともなりませんよ、結果は同じ町が陥落です、はっきり言って意味なしです」
「ちっ」
「なんですか、その舌打ちは!?」
「町が落ちる事の舌打ちだ気にするな」
「本当ですね、信じていいんですね」
「当たり前だ、我輩がそんなに薄情に見えるか」
「見えます(きっぱり)」
「良い事を思いついた、お前に炎の稲妻をかけて敵に抱きつく、一人一殺戦術」
「冗談です、冗談ですってば」
「あのー」
「なんだ部下B」
「二人で漫才してる間に町落ちてますけど」
「なんだとっ」
慌てて戦況を見てみると、既に町は陥落、早速敵英雄がソードマン達を要所に配置してこちらの逆襲に備えている。
このまま町をとられっぱなしというのは悔しい、実に悔しい、なので時間のかかる我がオーク軍団最強兵種?であるワイバーンの生産を取りやめ、スピアマンの大量投入での奪還作戦を展開する。
「よいか、一発殴られたら十倍返し、今こそ我が軍団の恐ろしさを敵軍に見せつける時だ」
鬨の声を上げるわが軍団、おおなんかいつになくこいつらが頼もしい。
これならやれる、そう思っていた時期も確かにありました。
「ふはははは、ゆけわが精鋭達よ、なぎ払え、引き裂け、蹂躙せよ、ふはははは、弱い弱い弱すぎる、見ろ味方がごみのようだ」
「駄目じゃん」
「なんだこれはーっええい、おまえらどこぞの時代劇の悪代官の手下か、ドミノ倒しみたくバタバタやられるんじゃない」
「仕方ないですよ、こちらはスピアマンなのに相手はドゥームバットとユニコーンなんですから、あいつらずるいよ、離れた所にいたと思ったら、すぐによって来てびしばしと」
「ええぃっ、もうこうなれば先生達を呼ぶしかない、先生方、先生がたぁー」
「ぶふー、出番でぶー」
「よっ、出ました、この三段腹のにくい奴、頼もしいよその二重顎、食べるのにほんと邪魔そうな突き出た牙がまた堪らない、バグトルゥー先生お願いします。」
「サウロン様、それ褒めてます?」
「やかましい」
「うははははは、漸く我が輩の出番であるな、うむ、すべてはこの我が輩にまかせるがいい」
「よっ、プジャンの大先生、その意味無しくるるん髭がほんとセクシー、根拠のない態度をさせたら世界一、憎いよこの、怪しげなアラビアン」
「だからそれで褒めているんですか?」
「お前はいいから黙ってろ、さあ、先生方存分にやってください」
「ぶふーーーーーっ」
「ふはははははははは」

炎の稲妻+20

ぼしゅ ぼしゅ

「あ」
「いっ」
「うそっ」
「えーと」
「おおっ、なんということだ」
頭を抱えるサウロンの元へ部下Bが駆け寄る。
「サウロン様、サウロン様ーーっ 大変です、バグトルゥー殿が敵の大呪文によりまる焼きになりました、皮はぱりぱり身はジュウシー、なんとも変わり果てた姿になって、一同涎が止まりません」
「プジャンはどうした」
「笑いながら死にました」
「役にたたんにも程があるぞあいつら」
「それよりどうするんですか、町を取られてしまいましたよ」
「むろん取り返すにきまっているだろう、ワイバーン部隊を回せ」
「けれど時間がかかりますよ、その間、攻められたらどうするんですか?」
「祈るぞ、ふぁーーー、あいやー、ほんだらかほっかー、くっくるぽー」
「ぶっ、なんですか、そのタコ踊り」
「なにしてる!、お前もやるんだよ!」
「ええっ、そんな恥ずかしい事をわたしがやるんですか」
「お前なんぞ、存在自体が恥知らずなんだから、気にする必要性は皆無だ」
「それってサウロン様の事じゃ(ぼそり)」
「いま、なにか言ったか焼き豚候補A」
「全力でやらさせていただきます」
祈りが効をそうしたのか、ロ・パンの部隊の部隊は動かず、ワイバーン部隊によって町の奪還は成した、しかし苦しい状況は続く。
「まずい、まずいぞ、右手でロ・パンを防ぎ左手でフレイヤを防ぐと、がら空きの背後からオベリックに掘られる」
「だから別にあの人オカマってわけじゃないですから」
「奴を背後に回らせては危険すぎる、なんとかせねば」
戦力的に見ればフレイアの勢力が一番大きく、それに次ぐのがロ・パン、オベリックは一番勢力的に劣る。
だが精力的な危険度からみればオベリックが一番やばい、ここは最大勢力のフレイヤとはひとまず和平条約を結び、一時的な平和状態を築き、その間にオベリックを片づけるのが一番良い。
「よし、フレイヤに魔導通信を送れ」
魔力を帯びた鏡がフレイヤの姿を映し出す。
「おーほっほほほほ」
「ぐは、あいかわらず来るな、この高周波」
「サウロン様、ひるんだら負けです、また何も言えずに切られますよ」
「わかっとるわい、えーとフレイヤ様?」
「ええ、ええ、そうですわ、わたくしがこの世に二人といないフレイヤですわ」
こんなのが二人も三人もいたら、速攻この世界から逃げ出すわい、と思いつつも愛想笑いを浮かべる。
「でへへへ」
「醜いですわ」
「あー、待って下さい、切らないで、話を話しを聞いてくださいませ、フレイヤ様」
「なんですの、このわたくし忙しいんですわよ、なにか御用でもありますの?」
「ええ、ええそうなんですよ、麗しき美貌の持ち主のフレイヤ様、いやーいつみてもお綺麗ですなぁ」
「ほほほほ、美的センスとかけ離れた顔をしている貴男にそのような事を言わせるとは、わたくしの美貌は罪作りですわ」
「げへへへ、まったくその通りでございます」
「流石サウロン様、揉み手すり手、卑屈な態度が実によく似合っております」
「いよ、このアルカナス&ミロール一の絶世の美女、あちきなんてその輝く美貌の前ではクラックオン以下のゴキロンでげすよ、げへへへ」
「見事です見事ですよサウロン様、その熟練した太鼓持ちな態度、今のサウロン様の右に出る者などおりません」
「おまえ、後で焼き豚な」
「なぜですかー!?」
「おーほっほほほほ、あなたも漸く当たり前の事を当たり前のように気がつけるようになったのですわね、よろしいですわ、なんのご用か知りませんけど、聞くだけは聞いて差し上げてもよろしくってよ」
「ははー、ありがとうございます、まずはこの黄金の饅頭をお受け取りください」
「饅頭?あまりエレガントではございませんわね」
しっかりと金貨を受け取りながらもフレイヤは眉をひそめる
「ははー、もちろんこれだけではありません、どうぞ呪文をひとつお納めください」
「ほほほほ、もらってあげてもよろしくてよ」
このアマいつか叩きつぶしちゃる、そう心に誓いつつも今はフレイヤの機嫌を損ねる訳にはいかない、ここは忍の一文字あるのみとぐっとこらえて、どこから取り出したのか扇子でぴしぱし頭を叩きつつ、フレイヤを持ち上げ続ける。
「それでですね、至高のフレイヤ様とこの卑しいサウロンいや、ゴキロンと同盟を組んでもらいたいとこう考えるんでげすよ、もちろん対等というわけでなく、ご主人様としもべということで」
「あなたとですか・・・・・まあ、よろしくてよ」
「ははぁー、ありがたき幸せ、われら一同、一日一回フレイヤ様の褒め称え、この同盟永久のものとしたいと思います」
「一日一回?」
フレイヤの少しばかりの不機嫌そうな声に慌てて手を振る。
「いえいえいえいえ、一日三回、毎食毎回ごとにフレイヤ様を称えたいと存じ上げますです、はい」
「おーほっほほほほ、良い心がけですわね」
こうしてフレイヤとの同盟が成立した。
「ふぅー、終わったか」
「サウロン様ご苦労様です、いやー、状況が状況なだけに仕方が無かった事とはいえ、あんまりの下手に出よう、涙が止まりませんでした」
「そうか、お前にも我輩の苦衷が分かったか」
「笑い涙で死にそうに、あ・・・・・」
「お前、どうやら程良く焼かれたいらしいな」
「ちょ、冗談ですよ冗談、だから、その炎をしまってください」
「くっ、お前なんぞと遊んでいる暇はない、この機を生かしてオベリックをギッタンギッタンのボコボコにしてやるぞ、ああ、してやるともさ」
「サウロン様、それって八つ当たり・・・・」
「炎の稲妻っ」
「うぎゃーーーーー」
そうして部下Aを半焼きにしてから、我が軍団はオベリック領に向け進軍した。
オベリックの率いる部族はクラックオン、スタグビートルの大群が口先ギチギチ揃えて待ち構えていた。
「虫・・・・・」
「ぷっ、ゴキロン」
「それ以上言ったら、全焼きするぞお前」
「い、言いません、もう何にも言いません」
本当に部下と遊んでいる場合ではない、ぐずぐずしていたら、囲まれている我が軍は各勢力によってたかって殲滅されてしまう、ここは一刻も早くオベリックを倒さねばならない。
まずは手始めに都市の周りにいるハルバード×3、スタグビードル×1混合部隊へと
ワイバーン×7部隊が攻撃をしかけさせる。
「なけなしの生産力でやっとの思いで揃えた侵攻部隊だ、負けるんじゃないぞ」
「フレーフレー、MIKATAっ」
実況中継の鏡を部下Aと共に見ながら支援の魔法と応援を送る中、空中より地上の敵部隊を掃蕩するワイバーン部隊。
「勝てるじゃないか、わが軍も」
「勝てなきゃまずいですよ、この戦力で」
「よしいけ、この調子で敵都市へと攻め込むのだ」
オーっと、スタグビートルが中心となった敵都市へと攻撃をしかける。
制空権は完全にこちらのものである、炎のブレスを吐くスタグビードルに対して上空から地上へと次々に攻撃をしかけるワイバーン部隊。
その様、さながら夏の夜の蚊取り線香に落ちる蚊の如し、ポロポロと墜ちて逝く
「って、全然ダメじゃないか」
「よわっ、ワイバーンよわっ」
「くそ、こうなったら先生を呼ぶしかない、先生、先生、出番ですよ」
「また、すぐ死ぬ英雄ですか」
「ばかもん、今度の先生は頼りになるぞ、接近戦の殺し屋カオスボーン先生だ」
「遠距離攻撃に弱いカオスボーンですか?また微妙くさい」
「黙れ黙れ黙れぃ、虫どもに遠距離攻撃をする奴などおらんわっ 」
いたらどうしようと思いつつも、カオスポーンを先頭に進撃を開始した我が軍団
「出た、精鋭スタグビードル!先生おねがいします!」

うっふ〜ん

「は?」
突然ピンクの雲、そしてバチンとウインク一つでスタグビートルを落としていくカオスポーン。
「・・・・・」
「どうしました?サウロン様?」
「いや、確かに各種の瞳で倒しているから、間違ってはいないと思うのだが、なにかこう、な」
「気にしてたら負けです」
「そうだな、結果が全てだ、さあこの調子でどんどんいくぞ」
そう、気にしてたら本当に負けである、ここは勝利を重ねるべき、そう割り切って進撃を続け、次々とオベリックの都市を占拠していく。
「順調だな」
「ええ、ここら辺りで何かオチの一つでもないと面白くありませんね」
「まったくだ・・・・・って、なんだそれは、我輩が何故そんなエンターティナーに徹しなければならんのだ!?」
「刺激がなくてなんのサウロン様ですか」
「お前は我輩を一体なんだと思って居るんだ」
「そりゃ勿論、スチャラカ魔・・・あ、いや、それはどうでも良くてですね、ほらほら見てください、精鋭スタグビートルに突っ込まれたワイバーン部隊が散々な目にあってますよ」
「嬉しそうに言うんじゃないっ」
部下Aの言うとおり、野戦で遭遇したスタグビートル×6の部隊が流石に学習したのかカオスポーンを避けて、周りのワイバーン達に突っ込んでいく。
ぽとぽと落ちていくワイバーン。
「しかし、生産力を200も使う割にやつら弱いな、ひょっとしてコストパフォーマンス凄く悪くないか?」
(今頃気がついたのかこの人は・・・・)
「ん?どうした?」
「いえ、なんでもありません、さあ次は首都攻防戦ですよ」
「う、うむ」
首都攻防戦においても相変わらずスタグビートルで固めて城壁内に引き籠もるオベリック
こちらもカオスポーンを先頭にワイバーンを左右に展開、後方からシュリら英雄達が弓矢と魔法を放つ。
オベリックも炎の魔法で英雄達を攻撃するなど抵抗するも、ついに首都は陥落し回帰の呪文も使わずに消え去った。
こうして北の脅威はなくなった、次なる標的はフレイヤかロ・パンのどちらかであるが、戦力的に見てロ・パンの方が与しやすい、与しやすいのだが
「おーほっほっほ、サウロンさん、今回の貢ぎ物はなんですの?」
フレイヤの高笑いをいつまでも聞いているのも耐え難い。
たとえ逝くさ、いや戦になろうとも、ここは一発この女にガツンと言ってやりたい。
そう言うべきだ。
「へへー、今回はゴールド1235Gでございます、どうぞお納めください」
「つまらないものですけど、受け取ってさしあげますわ、このわたくしの優しさに涙してくださいね」
「ははぁ、フレイヤ様の海より深いご自愛、この心にしかと刻み込んでおきます」
「って、まったくこれっぽちも、ガツンと言ってないじゃないですか!」
「やかましい、お前に何が分かる、ここは耐え難きを耐え、忍び難きを忍ぶ場面なのだ」
「かっこつけても、へたれである事に変わりはありません」
「喜べ」
「え?」
「照り焼きか塩焼きかそれぐらいは選ばしてやる」
「ぶっ、冗談ですよ、冗談、いやですね、わたしの言うことなんて真に受けるなんて」
「そうだろう、そうだろう、ははははは」
「ははははははは」
「次はないぞ」
「はひっ」
流石にフレイヤに喧嘩を売るには軍事力に差がありすぎる、ここは狙いをロ・パンに定めて力を付ける時だ。
こうしてロ・パンの領土に攻め込んだのだが
わんわんわわんわんわんわんわん
わんわんわわんわんわんわんわんわんわんわんわんわんわん
わんわんわわんわんわんわんわんわんわんわんわんわんわんわんわんわんわんわんわん
「ぐはなんだ、この犬1001匹大行進は、うるさくてかなわんぞ」
「まあ、相手はノールですからねぇ、仕方ないんじゃないですか?」
「ええい、こんなやつらみんな焼き尽くしてやる、昇竜の爆炎、昇竜の爆炎っ、昇竜の爆炎っっ、しょおーりゅうーのばぁくえんーーーっっっ」
「おお」
「ふははは、燃えろ燃えろこの犬ども、文字通りホットドックになってしまうが良いわ」
「・・・・サウロン様、そのもっこり黒タイツだけでも冗談きつすぎるんですから、つまらない洒落を言わないでください」
「なんだとこらぁ、誰がもっこり黒タイツの変態丸出し男だぁぁぁぁぁっ!」
「変態なんて言ってないじゃないですか」
「やかましい、お前などにこの我輩のハイセンスな出で立ちが分かってたまるか」
「分かったら、人間失格というか、あ、わたしオークか」
「黙れ黙れ黙れぃ」
などどいう馬鹿なやりとりをしている中でも部下達はしっかりと働き、ロ・パンの都市をドンドンパンパンドンパンパンと落としていく。
この世界、お犬様は憐れみの令で保護でもされないと威張れぬ存在である、魔法攻撃がことのほかよく効いて快進撃を続ける。
英雄セレナに呪文スキルをつけた剣を渡し、W昇竜の爆炎を唱えた後はもはや交戦する敵部隊は残骸が残るのみである、これをワイバーン部隊が片づけていく。
「いくよ、サウロン君」
セレナがマジカルソードを構える。
「お、おう?」
我輩も構える?
「君とボクの二人の力を合わせればどんな敵でもへっちゃらさ」
「そ、そうさ」
「ボクと」
「き、君の」
「愛のダブルスクリーム」
「あ、愛の・・・・・・って、ちょと待てやこらぁ!」
「はい、なんですの?」
「我が輩はそんな恥ずかしいかけ声をした憶えは無いぞ
「良いではありませんか、作業的な戦闘のちょっとした潤いですわ」
「何の潤いだ何の、馬鹿な事しとらんで普通に呪文を唱えろ」
「はぁ、つまらない」
なんて事をする程余裕に敵首都まで迫る。
「サウロン様、ロ・パンの首都を攻略しました」
「はやっ」
精神破壊などの各種魔法を使ってしぶとく抵抗していたロ・パンだが種族の劣性は覆いがたく我が軍の軍門に下った、回帰の呪文を使ってはいたが、もはや死に体である。
こうしてアルカナスで残るはフレイヤだけとなった。
裏世界のミロールを席巻しているであろうシイィラの部隊もちょこちょこ顔を出しているが、本格的な侵攻はしてきていない。
今こそフレイヤとの一騎打ちの時は来た。
「漸くだ、漸く、あの高笑いともおさらばできる」
「道のりは長かったですねー」
「ああ、よし、そうだフレイヤと交信しよう」
「え、まだ媚びるんですか?」
「馬鹿なことを言うな、最後に言いたいだけ言ってやるのだ」
「それ良いですね、さっそく繋げ・・・あれ?」
「どうしたのだ?」
「そのフレイヤさんからの交信です」
「なに?」
「なんでしょう」
「繋いで見ろ」
「はい」
ブィンと鈍い音を立て鏡に魔力が満ちると、フレイヤの顔を映し出す。
「わたくし、あなたの所行に今日まで耐えに耐えてきましたわ、けれどもううんざりですわ、この屑め」

プツン

「・・・・・え?なんだ?」
「あー、えーと、フレイヤからの宣戦布告です」
「なんだってぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
「うーん、あの人何かに耐えてたんだ、何をだろ?」
「知るかそんなもんっ、耐えてたのは我輩の方だ、散々貢ぎ物を受け取りやがって、土壇場でこれかぁ!?」
「なんか、最後まで翻弄されっぱなしですねぇ、あはははは」
「笑ってる場合か、やつらこちらの領土を我が物顔で歩き回っているのだぞ、まだロ・パン攻略部隊を戻してもいないのに準備不足だ」
「だから、そこを狙ってきたんじゃないかと」
「やかましい、お前に意見なぞ求めていない、行動だ、結果だ、実践だ、なんとかしろ、どうにかしろ」
「あ、あれどうです、先生、確かカオスポーン先生がまだ居たはず」
「それだ、先生、お願いします」
「あー、でもフレイヤが率いてる種族ハーフリングだ」
「馬鹿馬鹿馬鹿っ、もう馬鹿よあんたは、スリンガーに瞬殺されたじゃないのよ」
「なぜカマ化」
「ええぃ、やかましいわ、くらえ、昇竜の爆炎」
「おお、効いてます、サウロン様、スリンガー達が程良く焼けています」
「よし、ここはマナを惜しまず魔法攻撃だ、フレイヤに目にもの見せてくれる」
「あ、ゴーゴン」
「Oh NO!!」
フレイヤの戦力はスリンガーだけでは無かった、英雄も居れば、豊富な魔力を背景に召還した魔法生物もいる、過酷な消耗戦となったが、ここで負けたら、なんの為に今まで耐え続けたのか分からない、ワイバーンを作成しては戦場に送り続け、落ち続け、新たに作成したマジシャン部隊でスリンガー部隊を倒しながら、敵英雄達に倒されるなど一進一退の攻防が続くも皆が奮戦し、遂に首都を仰ぎ見る位置までどうにかこうにか戦線を押し上げるのに成功した。
「フレイヤの主力がスリンガー部隊で助かった」
「まあ、流石に各都市に魔法生物を召還するのはフレイヤでも無理なようでしたね、そのかわりに首都には一杯いますけど」
「ふ、ふ、ふはははははは」
「どうしたんですか、サウロン様、ついにあっちの世界へいっちゃいましたか」
「何が遂にだ、何が、我輩は勝利を確信したのだぞ」
「ふー、やはり逝ってしまいましたか、そのケは十分過ぎる程ありましたけど」
「炎の稲妻っ」
「うぎゃあああ」
「我輩が率いているのはオークだけにあらず、実はハイマンの町も一つだけだけど占拠してあったのだ」

ぷすぷす

「ふはははは、そして遂に遂にパラディン部隊を編成することが出来るようになっていたのだ」

ぷすぷすぷす

「おい、何を香ばしい臭いを上げている、少しは反応しろ」
「は、反応できなくさせたのはサウロン様・・・・がく」
「む、死んだか、まあいい、代わりはいくらでも」
「勝手に殺さないでください、とにかくそんな隠し駒があるんならとっとと使えばいいじゃないですか」
「おうよ、これで敵首都攻略だ」
こうしてパラディン部隊がゴーゴン犇めくフレイヤの首都へと喊声を上げて突撃した。
「全滅です」
「ぶーっ」
「いやー、よく考えたたらゴーゴンって空飛んでるんですよね、反撃でしか攻撃できないんじゃ、パラディンの先制攻撃も意味無しですよね、ははは」
「笑ってる場合か、どうするどうするよ」
「大丈夫です、全滅したとはいえ、そこはパラディン部隊、フレイヤのゴーゴン部隊もかなりの損害を受けてます、第二次攻撃を仕掛ければ、陥落させられます」
「そうだ、我が軍に全滅は付き物だ、ついパラディン部隊という事で勝利を確信しすぎて慌ててしまった」
「全滅が慣れっこってのも悲しいものがありますけどね」
「余計な事言ってないで控えのワイバーン部隊を突撃させろ」
「はい」
そうして漸くフレイヤの首都を攻略し、フレイヤは回帰の呪文を使うが残りの都市にはスリンガー部隊しかいない、フレイヤの戻る間昇竜の爆炎にて次々と都市を攻略していく。
「くくくく、戻って来た時のフレイヤの呆然とした顔を想像しただけで笑いがこみ上げてくるな」
「あの人、呆然としますかね、逆に高笑いあげてそうですけど」
「なんでよ」
「なんというか、そう言うことを超越しちゃっている人のような気がするんですけど」
「・・・・・あり得そうで怖いな」
その後フレイヤはやはり高笑いを上げて戻って来ては再度首都を落とされ、また回帰の呪文を使いと三度復活したが、ついに封印された。

後はミローンを支配するシイィ・ラとの全面戦争である。
ダークエルフを率いるシイィ・ラの戦力はなかなかのものであったが、相変わらずの昇竜の爆炎に焼け残りを掃討という消化試合に終始し、時間はかかったが1444年に完全勝利し、我が野望は達成された。
ムクドリ
2009年11月11日(水) 20時13分09秒 公開
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■作者からのメッセージ
単赤も楽しいですね。
今度はオーク一般部隊のみでの縛りプレイでもしてみようかな。

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wXZfEGBZsxQ 50 Barnypok ■2017-04-03 02:50:56
KsARNKCTtuBrKpoojh 50 Barnypok ■2017-04-02 23:36:59
BsajCNkdGl 50 Barnypok ■2017-04-02 15:16:49
↓なぜに低評価Σ(-_-;)結構、好きな雰囲気なんですけどw私♪ 50 ぺんぎん ■2015-11-07 10:42:56
ueNVEArjxgNk -20 auiene ■2015-03-31 15:07:27
jbXliyKmEwwJnZbtcnU -20 aljyjcvnrh ■2015-02-23 18:58:11
わぁ、オークですか。デフォルト魔導師というのもやってないですねえ。相手にパラディンがないと赤の破壊呪文は強いですよね。漫才楽しかったです。 10 月読 ■2009-11-11 21:22:01
合計 170
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